Kubernetes(K8s)とK3s:その違い、メリット、デメリット

June 14, 2023

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今日ではコンテナ化されたアプリケーションのデプロイメントと管理のための主流となっているKubernetes(K8s)ですが、その軽量版としてK3sがあります。それぞれの違い、メリット、デメリットを理解することで、どのツールを使用するべきかの判断が容易になります。

K8s と K3s の違い

まず基本的な違いから見ていきましょう。

Kubernetes(K8s)

Kubernetes は Google が開発したオープンソースのコンテナオーケストレーションツールです。クラスタ内のコンテナのデプロイ、スケーリング、運用を自動化する機能を持っています。

K3s

K3s は Rancher Labs によって開発された Kubernetes の軽量版です。K3s はバイナリ 1 つで動作し、構築が簡単であるだけでなく、ローエンドのハードウェアや IoT デバイスでも動作します。K8s のすべての機能を提供しつつも、そのサイズは約 40MB と非常に小さいです。

メリットとデメリット

それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

K8s のメリットとデメリット

メリット

  • 広範囲の機能:K8s はローリングアップデート、ロールバック、スケーリングなど、多くの機能を提供します。
  • 社会的な広がり:K8s は広く採用されており、大規模なコミュニティと豊富なドキュメンテーションがあります。
  • フレキシビリティ:様々なプラグインと統合が可能です。

デメリット

  • 複雑性:多機能であるが故に、学習曲線が急であると感じる人もいます。
  • リソース要件:ノードには少なくとも 2GB の RAM が必要です。

K3s のメリットとデメリット

メリット

  • 軽量:バイナリ 1 つであり、約 40MB という小さいサイズです。
  • 簡易性:設定が容易で、IoT デバイスなどのローエンドのハードウェアでも動作します。
  • フル機能:K8s と同様の機能を提供します。

デメリット

  • 新規性:K8s に比べると、まだ新しく、コミュニティやドキュメンテーションがそれほど充実していません。

K3s の主な使用シナリオ

K3s の軽量性とシンプルさは、特定の使用シナリオで非常に役立ちます。以下に、K3s が特に適しているいくつかのシナリオを示します。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングは、データを中央のデータセンターではなく、ネットワークの「エッジ」、つまり、データの発生源に近い場所で処理する技術です。K3s の軽量性とローエンドデバイスでの動作能力は、エッジコンピューティングのコンテナ化されたワークロードに理想的です。

IoT デバイス

IoT デバイスの場合、リソース制約が厳しく、軽量なソフトウェアソリューションが必要となることが多いです。K3s は、その軽量性と少ないリソース要件により、IoT デバイスでのコンテナオーケストレーションに適しています。

開発とテスト

新しいアプリケーションの開発や既存のアプリケーションのテスト環境を容易に設定できることは、開発者にとって重要です。K3s は、その設定の容易さにより、開発者のローカルマシンや CI/CD パイプラインでの使用に適しています。

実際のユースケース

さらに理解を深めるために、実際の K3s と K8s のユースケースを紹介します。

Kubernetes(K8s)のユースケース:Spotify

音楽ストリーミングの巨人 Spotify は、自社のマイクロサービスアーキテクチャをサポートするために Kubernetes を採用しました。数千のサービスと数百のエンジニアを持つ Spotify は、K8s の堅牢性とスケーラビリティにより、エンジニアがより迅速にイノベーションを進めることができます。

K3s のユースケース:IoT デバイス

一方、K3s は IoT デバイスでの使用に理想的です。例えば、スマートホームデバイスを制御するシステムは、K3s を使用して各デバイス上でマイクロサービスを動作させ、中央のサーバーと通信することが可能です。

まとめ

Kubernetes(K8s)と K3s は、それぞれ特有の特性とメリット、デメリットを持ちます。どちらを選ぶべきかは、具体的な要件と使用シナリオによるところが大きいです。この記事が、あなたが最適なコンテナオーケストレーションソリューションを選択する手助けとなることを願っています。


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Written by Mittsu
ベンチャー企業のしがないエンジニア。趣味はサッカーとTCG.

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