CommonJSとES Module: JavaScriptとNode.jsにおけるモジュールシステム

JavaScript とそのサーバーサイドプラットフォームである Node.js には、それぞれ異なるモジュールシステムが存在します。それが CommonJS と ES Module です。それぞれの特性と適用するべき場面について詳しく見ていきましょう。

CommonJS

CommonJS は、Node.js で採用されているモジュールシステムです。require()関数を用いてモジュールをインポートし、module.exportsを用いてモジュールをエクスポートします。

// モジュールをインポート
const module = require('./module.js');

// モジュールをエクスポート
module.exports = function;

ES Module はブラウザと Node.js の両方で利用可能であり、動的 import をサポートしています。

CommonJS と ES Module の選択

どちらのモジュールシステムを選択するかは、具体的なユースケースに依存します。Node.js で同期的にコードをロードしたい場合や、大量の依存関係がある場合は、CommonJS が適しています。一方、静的なコード解析やツリーシェイキングが必要な場合、またはブラウザとサーバーの両方でコードを共有したい場合は、ES Module を選択することが推奨されます。

CommonJS と ES Module の歴史

それぞれのモジュールシステムが開発された背景を理解することで、なぜ JavaScript に 2 つのモジュールシステムが存在するのか、その理由がより明確になります。

CommonJS の歴史

CommonJS は、JavaScript がブラウザ以外の環境でも使用できるようにすることを目指して開発されました。そのため、サーバーサイド環境やデスクトップアプリケーションで使用するための多くの API が提供されています。CommonJS の仕様が完成したのは 2009 年で、その後の Node.js のリリースとともに広く使用されるようになりました。

ES Module の歴史

一方、ES Module は ECMAScript 6（ES6）の一部として導入されました。これは JavaScript の標準仕様で、ブラウザと Node.js の両方で使用できるように設計されています。ES Module は 2015 年に公式に仕様が確定し、以降のブラウザのアップデートとともに対応ブラウザが増えています。

CommonJS と ES Module の互換性

ES Module は JavaScript の標準仕様であるため、今後は ES Module が主流となると予想されます。しかし、現在でも多くの Node.js のパッケージは CommonJS で書かれており、その互換性は重要な課題となっています。

Node.js ではimport()関数を用いて CommonJS のモジュールを動的にインポートすることができます。また、require()関数を用いて ES Module をインポートすることはできませんが、.mjs拡張子を使用することで ES Module を Node.js で利用することが可能です。

CommonJS と ES Module のパフォーマンス

パフォーマンス観点から見ると、CommonJS と ES Module の違いが重要となります。

CommonJS のモジュールは、要求されたときに同期的にロードされ、実行されます。そのため、モジュールが大量にあるとアプリケーションの起動時間が長くなり、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。

一方、ES Module ではインポートとエクスポートが静的に解析され、必要な部分だけをロードするツリーシェイキングが可能です。これにより、不必要なコードのロードを避け、パフォーマンスを向上させることが可能です。

Node.js の ES Module サポート

Node.js はバージョン 13.2.0 以降で ES Module をフルサポートしています。そのため、.mjs拡張子またはpackage.jsonに"type": "module"を追加することで、Node.js でも ES Module を使用することが可能です。しかし、既存の大量の CommonJS ベースのパッケージとの互換性を保つためには、適切な対応が必要となります。

パッケージマネージャとの互換性

JavaScript のパッケージマネージャ、npm と yarn は、CommonJS と ES Module の両方をサポートしています。これにより、どちらのモジュールシステムを使用してもパッケージのインストールや管理が可能です。

ただし、パッケージが提供するモジュールの形式によっては、特定の設定が必要となる場合があります。例えば、ES Module を使用するパッケージを CommonJS でインポートするには、動的import()関数を使用する必要があります。

まとめ

JavaScript と Node.js におけるモジュールシステム、CommonJS と ES Module には、それぞれに特性と歴史があります。これらを理解することで、具体的なユースケースに応じた適切なモジュールシステムの選択が可能となります。パフォーマンス、Node.js とパッケージマネージャとの互換性も考慮に入れることで、より効率的なコード開発が可能となります。