データベース設計のキー:代理キーから主キーまで

June 15, 2023

top画像

データベース設計におけるキーは、その整合性と効率性を維持するための重要な要素です。この記事では、代理キー、代用キー、スーパーキー、候補キー、主キーといったキーの種類を詳しく解説します。

代理キー(Surrogate Key)

代理キーは、データベース内の各行を一意に識別するために使用されます。これらのキーは、通常、データベース管理システム(DBMS)によって自動的に生成され、ユーザーが設定するものではありません。

例えば、顧客テーブルでは、顧客 ID としての代理キーが各行(つまり各顧客)を一意に識別します。これにより、同じ名前を持つ顧客がいても、それぞれを正確に識別することができます。

代用キー(Alternate Key)

代用キーは、主キーとして選ばれなかった候補キーのことを指します。これらは一意性を持つ属性で、レコードを一意に識別することが可能です。

例えば、社員テーブルでは、社員番号が主キーとして選ばれ、一意に社員を識別しますが、社員のメールアドレスも一意性を持つため、代用キーとして機能します。

スーパーキー(Super Key)

スーパーキーは、テーブルの行を一意に識別できる属性、または属性の集合を指します。スーパーキーには、余分な属性が含まれる場合があります。

例えば、学生テーブルには「学生 ID」、「名前」、「生年月日」などの属性があるとします。この場合、「学生 ID」だけでも行を一意に識別できますが、「学生 ID」+「名前」、または「学生 ID」+「生年月日」もスーパーキーとなります。

候補キー(Candidate Key)

候補キーは、スーパーキーの中でも最小限の属性で構成され、行を一意に識別できるキーを指します。候補キーは、主キーとして選ばれる前のキーです。

先ほどの学生テーブルで考えると、「学生 ID」は候補キーとなります。なぜなら、「学生 ID」一つだけでも行を一意に識別でき、それ以上の属性を追加する必要がないからです。

主キー(Primary Key)

主キーは、テーブルの各行を一意に識別するために選ばれる候補キーです。主キーは、テーブルに必ず存在し、一つのテーブルにつき一つだけ設定できます。

主キーにはいくつかの重要な役割があります。それは、データの一貫性を保つこと、データベース内の他のテーブルとの関連を作ること、そしてデータの検索やソートを効率的に行うことです。

キーの選択と最適化の考え方

データベース設計時にキーの選択は極めて重要な作業です。データベースの性能や保守性を考慮した適切なキーの選択は、効率的なデータベースシステムの構築には必須です。

1. 代理キーの選択

代理キーはデータベースシステムが自動生成するため、テーブルのレコードを一意に識別するためのシンプルで便利な方法です。しかし、人間が理解する上で意味を持たないため、データ分析時には直感的でない場合があります。

2. 代用キーの選択

代用キーは、主キーとして選ばれなかったが、それでも一意性を持つ属性です。これらのキーは、データ分析において有用な場合があります。しかし、値が変更される可能性がある属性を代用キーとして選択すると、後で問題が発生する可能性があるため注意が必要です。

3. スーパーキーの選択

スーパーキーは、行を一意に識別するための属性の集合です。しかし、必要以上に多くの属性を含むスーパーキーは、データベースのパフォーマンスに影響を及ぼす場合があります。

4. 候補キーの選択

候補キーは、主キーとして選択する前のステージのキーです。これらのキーは、データの一意性と最小性を持つため、適切に選択することが重要です。

5. 主キーの選択

主キーの選択は、データベース設計における最も重要な決定の一つです。主キーはテーブルの各行を一意に識別するためのキーであり、他のテーブルとの関連付けやデータの検索、ソートを効率的に行うための基盤となります。

まとめ

データベース設計における各種キーは、データの整合性と効率性を保つために重要です。

それぞれのキーの特性と使い方を理解し、適切なキーを選択することで、データベースのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。これらのキーの理解と活用は、効果的なデータベース設計の基礎となります。

データベース設計の過程で、どのキーを選択するか、どのようにそのキーを最適化するかを考えることで、より効率的で高性能なシステムを構築することが可能になります。


Profile picture

Written by Mittsu
ベンチャー企業のしがないエンジニア。趣味はサッカーとTCG.

© 2024